我が国は、京都議定書の6%削減約束を達成するため、京都議定書目標達成計画に基づき必要な対策・施策を講じることにしていますが、今後、科学の要請に基づき、温室効果ガスの排出量を長期にわたり大幅に削減するためには、削減技術の開発・普及を進めながら低炭素社会を構築していくことが重要であり、環境と経済双方の視点から戦略的に実施する必要があります。
国内排出量取引制度は、温室効果ガス排出量に排出枠を設定し、排出量の削減を担保するための制度であり、柔軟な義務履行を可能とする観点から排出枠の取引等を義務履行の選択肢として認めるものです。これにより、環境技術の開発・普及が促進されることや、あわせて、炭素に価格がつくことによる追加的な排出削減努力へのインセンティブにもつながることが期待されています。

環境省では、平成17年度から自主参加型国内排出量取引制度(JVETS)を実施して経験・知見を蓄積するとともに、平成20年1月には「国内排出量取引制度検討会」を設置し、我が国の実情を踏まえた具体的な制度設計のあり方について検討を重ねてきました。
その後、平成20年7月29日に閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」に基づき、平成20年10月から「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」が開始されることとなったのを受けて、平成20年10月21日、政府の地球温暖化対策推進本部でその具体的内容について決定し、同日から参加者の募集を開始しました。この試行的実施については、平成22年4月に政府としてのフォローアップが行われました。そこで、試行的実施は、地球温暖化対策基本法案に基づき今後創設される本格制度の基盤となるものではありませんが、排出実態等排出実態等に関する情報収集、排出量の算定・検証の体制の整備、対象事業者における排出量取引への習熟等の意義があることから、本格制度に向けた準備のため、目標設定、モニタリング・算定・報告ルール、第三者検証等について、見直しを行った上で継続することになりました。
平成21年9月22日、鳩山内閣総理大臣(当時)は、国連気候変動首脳会合の演説において、中期目標として、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を「前提」として、2020年までに1990年比25%削減をめざすことを表明するとともに、政治の意思として、国内排出量取引制度や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入、地球温暖化対策税の検討をはじめとして、あらゆる政策を総動員して実現を目指していく決意を示しました。その際、国内排出量取引市場については、各国で検討されている制度についての情報交換を進め、特に、国際競争力への影響や各国間のリンケージを念頭に置きながら、議論を行う旨にも言及しました。
国際社会での日本の立場表明を受け、平成22年3月12日「地球温暖化対策基本法案」が閣議決定されました。同法案第13条では、国内排出量取引制度を基本的施策の筆頭に位置付けています。同法案は、一旦国会の会期終了に伴い審議未了で廃案となりましたが、同年10月13日に国会に再提出され、継続審議となっています。
これらの国会における審議と並行して、環境省は中央環境審議会地球環境部会の下に国内排出量取引制度小委員会を設置し、制度の在り方について専門的な検討や論点整理を進めてきました。同小委員会は、平成22年4月から12月に計18回の会合を開き、「我が国における国内排出量取引制度の在り方について(中間整理)」をとりまとめました。
平成22年12月28日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会は「地球温暖化対策の主要3施策について」を決定しました。国内排出量取引制度は、地球温暖化対策の柱である一方で様々な懸念があるとして、我が国の産業に対する負担やそれに伴う雇用への影響、海外制度の動向と効果、産業界の自主的取組など国内で先行する温暖化対策の運用評価、公平かつ実効性のある国際的な枠組みの成否等を見極め、慎重に検討を行うこととされています。
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