京都クレジットは、会計上無形固定資産に近い性格を有する
1. 口座開設 ≫ 2. 市場情報の入手 ≫ 3. 取引相手の決定 ≫ 4. 契約書の締結 ≫ 5. 決済の実施 ≫ 6. 会計処理
京都クレジットの会計上の処理の指針は、平成16年に企業会計基準委員会(ASBJ)から、「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」として示されました。 指針によると、京都クレジットは会計上、無形固定資産に近い性格を有すると考えられており、金融資産には該当しません。また、京都クレジットを取得する目的として、
- 自主行動計画目標やCSR目標等、自社で何らかの目標達成のために用いる償却目的
- 商社等のように京都クレジットを大量に取得し、いずれかは第三者に売却しようとする転売目的
を想定して、各々のケースについて、会計処理の方針を定めています。どちらの目的で京都クレジットを取得するのか、取得当初は判断が難しい場合もあるでしょうが、どちらの目的なのかによって、会計上の処理は異なります。
- 取得するとき
京都クレジットは、原価評価される無形資産として考えられます。京都クレジットを取得したことを会計帳簿に記載する際、自社償却用である場合には、「無形固定資産」又は「投資その他資産」の取得として計上します。一方、第三者への転売目的である場合には、貸借対照表(B/S)上の「棚卸資産」の取得として計上します。期末評価を行う際には、取得原価によって評価します。- 将来における京都クレジットの購入を約束した先渡し取引の場合は、契約締結時には取引を認識せず、京都クレジットの引渡しを受けた時点で取引を認識します。
- 転売するとき
- 転売目的で取得した京都クレジットは、「棚卸資産」の取得として計上されており、それを転売するときには「棚卸資産」の売却として処理されます。
- 償却するとき
国別登録簿の償却口座へ京都クレジットが移転される場合には、費用として取り扱われることになります。損益計算書(PL)の「販売費及び一般管理費」として処理します。
参考 会計処理の概要
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場合 |
会計上の処理 |
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| 自社償却目的 | (1)契約締結時 | 仕訳なし |
| (2)支出時 | 「無形固定資産」又は「投資その他資産」の区分に、当該前渡金を示す適当な科目で計上 | |
| (3)取得前の期末評価 | 取得原価による(固定資産の減損会計が適用) | |
| (4)取得時 | 「無形固定資産」又は「投資その他資産」の取得として処理 | |
| (5)取得後の期末評価 | 取得原価による(減価償却はしない。ただし、固定資産の減損会計適用) | |
| (6)第三者への売却時 | 「無形固定資産」又は「投資その他資産」の販売として処理 | |
| (7)償却時 | 「販売費及び一般管理費」の区分に適当な科目で計上 | |
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第三者への転売目的 |
(1)契約締結時 | 仕訳なし |
| (2)支出時 | 「前渡金」として計上 | |
| (3)取得前の期末評価 | 取得原価による(取得まで長期間かかると想定されるため、評価減の検討必要) | |
| (4)取得時 | 「棚卸資産」の取得として処理 | |
| (5)取得後の期末評価 | 取得原価による(ただし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価との差額は当期の費用として処理する) | |
| (6)販売時 | 「棚卸資産」の販売として処理 |
出典:企業会計基準委員会(ASBJ)「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」
この指針はその後、2008年10月より開始した排出量取引の国内統合市場の試行的実施において必要と考えられる会計処理を明らかにするため、2009年6月に改正されました。試行排出量取引スキームにおいて、政府から排出枠を無償で取得する場合、以下のように会計処理を行います。
場合 |
無償で取得する場合の会計上の処理 |
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| 事後精算により排出枠を取得する場合 | 事前交付により排出枠を取得する場合 | ||
| 自社償却目的 | (1)事前交付時 | − | 仕訳なし |
| (2) 第三者への売却時(各年度の目標達成確認前) | − | 仮受金その他の未決算勘定として計上 | |
| (3)各年度の目標達成確認時 | 仕訳なし | ||
| (4)無償/ボローイングで取得した排出枠の償却時 | 仕訳なし(購入した排出枠の処理については、「販売費及び一般管理費」の区分に適当な科目で計上) | ||
| (5) 第三者への売却時(通算の目標達成確認前) | 仮受金その他の未決算勘定として計上 | ||
| (6)スキームに参加する複数年度を通算して目標達成が確実と見込まれた時 | (2)や(5)で計上した仮受金その他の未決算勘定を利益に振替(目標未達となり、費用が発生する場合には、仮受金その他の未決算勘定を費用の減額に充てる) | ||
出典:企業会計基準委員会(ASBJ)「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」
京都クレジットの税務上の処理の指針は、2009年2月に国税庁から、「京都メカニズムを活用したクレジットの取引に係る税務上の取扱いについて」照会結果が示されました。 この指針は、京都クレジットの取引(取得(購入)、売却)に係る法人税及び消費税の取扱いについて、以下のように示されました。
- 法人税
- 国内法人が、償却を目的としてクレジットを取得(購入)し、同クレジットを政府保有口座へ移転する場合、同クレジットの価額に相当する金額を国等に対する寄附金として損金算入する。
- 消費税
- 国内法人が国内法人にクレジットを売却した場合、課税対象(仕入税額控除の対象)となる。
- 国内法人が外国法人にクレジットを売却する場合、輸出免税が適用される。
- 国内法人が外国法人からクレジットを購入する場合、国外取引となり課税対象外(仕入税額控除の対象外)となる。

