米国では、オバマ大統領のリーダーシップの下、連邦レベルでの排出量取引制度の導入に向けた法案が2009年6月に下院本会議を通過しました。 その後、2009年9月及び2010年5月に上院でも排出量取引制度の導入を提案する法案が提出されましたが、いずれも法案成立には至っていません。 一方、州レベルでは、既に排出量取引制度を導入、又は導入に向けた検討が活発に行われています。
連邦レベル
2009年3月、米国下院のワックスマン議員とマーキー議員が、エネルギー自給率の拡大やGHG排出削減を目指す包括的な法案(通称ワックスマン・マーキー法案)を発表しました。米国のGHG排出削減目標として、2005年比で2020年までに20%削減、2050年までに83%削減を掲げ、目標達成のためキャップ・アンド・トレード式の排出量取引制度の導入を提案し、2009年6月に下院本会議で可決されました。 また、2009年9月には、米国上院のケリー議員とボクサー議員が、CO2排出削減やクリーンエネルギー分野での雇用創出を実現する包括的な法案(通称ケリー・ボクサー法案)を発表しました。ワックスマン・マーキー法案と同様にケリー・ボクサー法案では、米国のGHG排出削減目標として、2005年比で2020年までに20%削減、2050年までに83%削減を掲げ、目標達成のためキャップ・アンド・トレード式の排出量取引制度の導入を提案し、2009年11月に上院環境公共事業委員会で可決されました。さらに、2010年5月、米国上院のケリー議員とリーバーマン議員が、排出量取引制度の導入を含む、包括的な気候変動・エネルギー法案(通称ケリー・リーバーマン法案)を発表しました。ケリー・リーバーマン法案で提案されている排出量取引制度に関する主な内容は以下の通りです。
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上記のいずれの法案についても法案成立には至らず、米国第111議会(2009~2010年の2年会期)の閉会に伴い廃案となりました。また、2010年秋に行われた中間選挙において民主党が上下院で議席を減らしたことで、今後連邦レベルでの排出量取引制度導入の見通しが不透明になっています。
以上のように、連邦レベルでの排出量取引制度導入の見通しが不透明な一方で、大気浄化法(CAA)に基づく米国環境保護庁(EPA)による排出規制がGHGの排出にも適用される動きが広がっています。EPAは、GHG年間排出量が一定以上の大規模排出施設の新設/改修を行う排出源に対して、大気浄化法に基づき建設前及び操業許可の取得を義務付けるGHG排出調整規則を2011年1月から適用しました。同規則では、GHGの排出抑制のため、利用可能な最善の抑制技術(BACT)の採用が義務付けられています。また、EPAは2010年12月23日、米国全体のGHG排出量のおよそ40%を占める、化石燃料を使用する発電所や石油精製施設からのGHG排出に対処するための規制案を、2011年に発表する予定であることを明らかにしました。
州レベル
北東部地域GHG削減イニシアティブ(RGGI)とは、 米国北東部10州における発電所を対象とした排出量取引制度導入のイニシアティブで、2009年に開始されました。参加州は、2020年までにGHG排出量を現在比20%削減することを約束しています。この制度の特徴は、オークションにより排出枠の割当がなされる点です。これまでに10度のオークションが開催されています。| 開催日 | オークションの結果 | |||
| ビンテージ | 売却量 | 約定価格 | 参加者数 | |
| 第1回 2008年9月25日 |
2009年 | 12,565,387t-CO2 | 3.07ドル/t-CO2 | 59 |
| 第2回 2008年12月17日 |
2009年 | 188,076,976t-CO2 | 3.38ドル/t-CO2 | 69 |
| 第3回 2009年3月18日 |
2009年 | 31,535,765t-CO2 | 3.51ドル/t-CO2 | 50 |
| 2012年 | 2,175,513t-CO2 | 3.05ドル/t-CO2 | 20 | |
| 第4回 2009年6月17日 |
2009年 | 30,887,620t-CO2 | 3.23ドル/t-CO2 | 54 |
| 2012年 | 2,172,540t-CO2 | 2.06ドル/t-CO2 | 13 | |
| 第5回 2009年9月9日 |
2009年 | 28,408,945t-CO2 | 2.19ドル/t-CO2 | 46 |
| 2012年 | 2,172,540t-CO2 | 1.87ドル/t-CO2 | 12 | |
| 第6回 2009年12月2日 |
2009年 | 28,591,698t-CO2 | 2.05ドル/t-CO2 | 62 |
| 2012年 | 1,599,000t-CO2 | 1.86ドル/t-CO2 | 8 | |
| 第7回 2010年3月10日 |
2010年 | 40,612,408t-CO2 | 2.07ドル/t-CO2 | 51 |
| 2013年 | 2,091,000t-CO2 | 1.86ドル/t-CO2 | 9 | |
| 第8回 2010年6月9日 |
2010年 | 40,685,585t-CO2 | 1.88ドル/t-CO2 | 43 |
| 2013年 | 2,137,993t-CO2 | 1.86ドル/t-CO2 | 10 | |
| 第9回 2010年9月8日 |
2009/10年 | 34,407,000t-CO2 | 1.86ドル/t-CO2 | 45 |
| 2013年 | 1,312,000t-CO2 | 1.86ドル/t-CO2 | 6 | |
| 第10回 2010年12月1日 |
2009/10年 | 24,755,000t-CO2 | 1.86ドル/t-CO2 | 38 |
| 2013年 | 1,172,000t-CO2 | 1.86ドル/t-CO2 | 4 | |
西部気候イニシアティブ(WCI)は、2007年2月に発表されたイニシアティブです。参加地域全体のGHG排出削減目標として、2020年までに2005年比15%削減を掲げ、キャップ・アンド・トレード型排出量取引制度の導入を目指しています。現在では、米国とカナダからの11州が参加、またメキシコの州も含む15州がオブザーバーとして参加しています。WCIは、2012年からの制度導入に向けて2008年9月に制度設計案を発表し、2010年7月には制度設計の詳細を公表しています。
企業レベル
アメリカでは、企業主導の自主的な動きも広がっています。シカゴ気候取引所(CCX)では、自主参加型のキャップ・アンド・トレードプログラムが2003年から開始されました。同プログラムには、これまで300社を超えるGHG排出削減目標を負う企業やクレジット供給する企業が参加してきましたが、CCXは、2010年10月21日、同プログラムを第二期(2007年~2010年)で終了することを発表しました。2011年からは、新たなオフセット登録簿プログラムが開始される予定です。
米国気候行動パートナーシップ (USCAP)は、2007年1月デュポン社、フォード社、シェル社等の企業と環境保護団体が結成しました。連邦議会に対しGHG排出削減の数値目標を設定すること、技術の開発・普及促進のための国家プログラムを整備すること等を求めています。2011年現在、27の企業・団体がメンバーとして参加しています。
| 削減目標 |
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| 履行手段 |
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